2014年9月23日火曜日

SWAN UK - 英国の名前のない症候群の患者会

英国の「名前のない症候群」患者会のSWAN UKに印象的なエピソードが掲載されているので、部分的に翻訳したい。

At about 8 months old there were no signs of development and Charlotte was referred to an assessment unit where we discovered she was visually and hearing impaired.
月齢およそ8ヶ月となっても、シャルロッテには発達の兆候がなく、評価チームへと紹介されて、私達は彼女が視覚及び聴覚に障害があることを告げられた。 
(中略)

We spent a lot of time in hospital without getting any real answers as to why she suffered like this.
私達はこうして彼女が患うのがなぜなのか、本当の答えを得ることができないまま、病院で長時間過ごすこととなった。
We couldn’t leave her because she couldn’t let anyone know she wanted to be sick and could not turn on her side.
彼女は誰にも吐き気がすると訴えることができず、体の向きを変えることもできなかったので、私達は彼女を独りにはできなかった。
Charlotte was unable to eject the vomit without a major effort and was in danger of choking.
シャルロッテは、容易には嘔吐することができず、窒息する恐れがあった
(中略)
The cyanotic episodes returned and Charlotte was finally diagnosed as having epilepsy.
チアノーゼ様のエピソードが再び起こって、シャルロッテは最後にはてんかんを患っていると診断された。
She also remained unable to walk or talk or to help herself in any way at all.
彼女はまた、歩くことも話すこともどうすることもできないままだった。
We asked for a referral to another specialist hospital and here we were gently told ‘you do realise you may never get a diagnosis and there are an awful lot of you out there’.
私達は他の専門病院に紹介してくれるようお願いしたところ、こう言われたのだった。「大変残念ですが、診断を得られるとはお考えにならないことです。そんな方はどこにでもおられるのです」
Our initial reaction was surprise.
私達がそれを聞いて最初に感じたのは驚きだった。
We had thought we were the only ones in this situation but obviously it was not so.
私達は自分たちがこうした状況にいる唯一の家族だと思っていたのが、実はそうではなかったのだ。
The full realisation doesn’t dawn on you immediately.
この苦しみをすぐに理解していただけるとは思わない。
I don’t suppose that there is a day when it does.
いつかその日が来るとも期待しない。
We kept saying things like ‘well next Christmas she will be able to play with her toys.’
私達はこう言い続けた。「来年のクリスマスにはシャルロットもおもちゃで遊べるようになるわ」
It’s a gradual acceptance that this is not going to happen but that small spark of hope always continues to burn.
これが叶わぬ願いなのはじわじわと心に刻み込まれたが、それでも小さな希望の火は常に灯り続けたのだった。
(中略)
This was a terrible shock as we now had no guidelines as to what the future held for her, or indeed, if there was a future for her.
彼女にどんな未来が待っているのか全く見込みが立たないということに、私達はひどいショックを受けた。いや、実のところ、彼女に将来が存在するとしての話だが。
Our Health Visitor was a tower of strength at this time and she provided a great deal of support for us with referrals and helping with a multitude of forms which had to be filled in.
このときは地元の保健師が強い味方になってくれて、彼女は私達に紹介状を書いてくれたり、いろいろな書類申請をするのを手伝ってくれた。
The tests went on and on and on.
検査はひたすら続いていた。
We never heard the results of many tests – in one case we were told that the samples must be in a laboratory somewhere, possibly Belgium.
多くの検査結果が私達に届かぬままとなった。ある場合には、検体がどこかの検査機関、おそらくベルギーのどこかにあるはずと告げられた。
On another occasion we were told that the samples had deteriorated while waiting to be tested.
またある時には、検査を待っている間に検体が劣化してしまったと告げられた。
Most test results however were given gently although told us little new.
それでも多くの検査結果が問題なく返って来たものの、新しいことは何も分からなかった。
Following Dolphin therapy in Florida, my granddaughter did begin to use what little vision and hearing she had and is no longer registered deaf / blind.
フロリダでのいるかセラピーの後は、孫娘は僅かな視力と聴力を活用することを覚え、もはや聴覚/視覚障害者とは言えなくなった。
She could sit up and would ‘bum shuffle’ across the floor.
彼女はお座りができるようになり、床の上を転げまわったものだ。
Her epilepsy is presenting major problems at the moment and following a severe bout four years ago her condition has deteriorated.
そのころ彼女のてんかんが重い問題となりつつあり、4年前の重い症状に続いて状態はより悪くなっていった。
She no longer shuffles around or sits up.
彼女はもはや転げまわったりお座りをしたりしない。
She has now developed scoliosis and her epilepsy is once again out of control and awaiting surgery for a VNS.
彼女は現在、脊柱側弯症を発症し、てんかんが再びコントロールできなくなり、VNS(迷走神経刺激装置)の手術を待っている。
At 16 years old (this was a few years ago) she cannot talk or walk.
16歳にして(これは数年前の手記だが)彼女は話すことも歩くこともできない。
She cannot chew food although she has a good appetite on the whole.
彼女は食欲はおおせいだが食べ物を噛むこともできない。
If she is in pain she cannot tell us and we have to guess – first of all, ‘is she in pain?’ and secondly, ‘where is the pain?’
痛みが酷い時でも彼女は訴えることもできず、私達は推し量らねばならない。最初に「痛いの?」そして「どこが?」とだけ。
All test results came back negative or normal.
全ての検査結果が陰性または正常と返ってきた。
A defect on chromosome 9 has been discovered but no one knows where the extra material has come from and we were told ‘she is not a typical chromosome 9 child’.
9番染色体上に欠損が見出されたが、誰もそんなものがどこから生じたのか知らず、私達はただ告げられたのだ。「典型的な9番染色体をもった子供じゃないんです」
The main issues we have found when dealing with doctors and nurses is they can struggle when dealing with the unknown.
医師や看護師と話し合う上で大きな問題となったのは、彼らが不明な状況に対処するためにあがくことだった。
We have seen looks of panic on the faces of medical and nursing staff when we tell them there is no specific diagnosis.
私達が特定の診断が得られていないと告げると、医師や看護師のパニックを起こした形相を目にすることとなった。
They can’t go away and read up on it or look it up on the internet.
彼らは消え失せることもできず、ただ調べたり検索したりするのだった。(?訳が正しくないかも)
One of my granddaughter’s paediatricians would bring her students to see us and would tell them that they may get a child ‘like her’ in their exams.
孫娘を診た小児科医の一人は診察に生徒達を連れて来て、試験では「こういった」小児を診ることになるかもしれないと語った。
They looked terrified at the prospect.
そうすると彼らは前途に不安を覚えたようだった。
Training for both medical and nursing staff MUST include how to cope with these unknown factors.
医師や看護師の教育課程に、こうした不明な要素にどのように対処するかということを「ぜひ」含むべきだ。
The worst part is the not knowing why these things have happened.
もっとも悪いことは、こうしたことがどうして起こったのか分からないことだ。
Will another child be affected, perhaps this generation or the next?
他の子供も罹患するのだろうか? おそらく同じ世代に? それとももっと後?

There are no answers for us.
そんなことを考えても答えは出ない。
No light at the end of our tunnel.
私達がはまりこんだトンネルには、出口の光は届かないのだ。
If you have a diagnosis you are on some sort of path – perhaps not always clearly defined one but it is a path.
診断が出さえすれば歩むべき道は続いている - 常にはっきりしているとは限らないが、それでも道は道だ。
People tend to think that medical science has all of the answers so sometimes we are seen as uncaring people who have not bothered to find out or are perhaps fraudulent in our claims.
人々は医学が全ての答えを握っていると考えがちである。それ故、しばしば私達は、診断を探そうと必死になってなどいない怠惰なだけの家族であるとか、詐欺を働こうとしているのだとさえ思われる。
My granddaughter was refused benefits as ‘she did not fit the criteria’.
孫娘は、「診断基準を満たしていない」だけのことで、医療給付を拒否されたのだ。
It took a long time to sort out causing more stress in my daughter.
私の娘にとっては、祖母である私以上の大きなストレスとなり、気持ちの整理をつけるのに時間がかかった。
We take each day at a time.
私達は一日一日を生きている。
My granddaughter is in special school and is cared for by her mum at home but she is growing up and what then?
孫娘は養護学校に入学し、家にいる間は彼女のママに世話をされている。でも、彼女は成長してその後は一体どうなるのだろう?
For us each day is a fight to get what she needs.
私達にとっては、毎日が彼女に必要なものを手に入れるための闘いなのだ。
We have seen children less disabled but with a named condition get equipment and support easily whist we have to fight and prove our case over and over again.
私達が闘って症例を繰り返し繰り返し証明しなければならないのに、名前のある診断を受けた障害の程度がより軽い子供達が、用具を手に入れ容易に介助を受けるのを見てきた。
It’s a fight to come to terms with not knowing, not having answers, not being believed.
知らないこと、答えがないこと、信じてもらえないことに、折り合いをつけて生きていくのは闘いなのだ。
The worst fight of all is coping with seeing her suffer and not being able to tell us what is wrong and how she feels.
全てが闘いなのだが、中でも、彼女が苦しみ、どこが悪くてどう感じているのか語ることができないのを目にするのは最悪だ。
It has had an effect on us, and in some ways has made us stronger.
このことが私達を変え、ある意味で、私達を強くしたと言ってもいいだろう。
When her medication is changed her mum always asks for possible side effects to be written down.
彼女の投薬が変更される際には、母親は常に副作用について尋ねて書き留めるようになった。
It doesn’t make her popular but as she says, she has to deal with this.
彼女はそのことによりしつこいと思われるだろうが、彼女は言う。そんなことぐらい耐えなければ。
We ask far more questions now and we are fighters where we used not to be.
私達は今はより多くの質問を投げかけ、今やかつて思いもしなかったようなファイターとなった。
There are many undiagnosed children like my granddaughter.
孫娘のような診断未確定の子供達はたくさんいる。
Families left without answers and enduring what we go through and yet most people do not know we exist.
家族たちは答えがないまま放置され、私達が経験したのと同じ状況に耐えているが、それでも他の人達は私達のような症例があることさえ知らない。
I have spoken to many parents of undiagnosed children and the vast majority feel they have been left to fend for themselves.
私が診断未確定となった子供達のたくさんの両親と言葉を交わしたところ、圧倒的多数が自力でなんとかやっていくよう放置されたと感じている。
It is because of my granddaughter Syndromes Without A Name (SWAN) came into being.
名前のない症候群(Syndromes Without A Name)の患者会、つまりスワンを立ち上げたのは、私の孫娘のためなのだ。

2014年9月22日月曜日

1遺伝子1疾患でない場合

メンデルの時代には1遺伝子1疾患モデルで考えられたが、現在では1遺伝子が変異の種類により複数の疾患を起こす場合が知られている。

この例として適切かどうか分からないが、私がSCN4Aに病因性不明のバリアントを持っているため、SCN4Aに詳しいのでその例を挙げると、NIHの一般人向けの説明には、高カリウム性周期性四肢麻痺、低カリウム性周期性四肢麻痺、先天性パラミオトニー、カリウム惹起性ミオトニー、先天性筋無力症候群の5種類が記されている。これらのうち幾つかは他の遺伝子の変異が原因になることもあるので、実際は1遺伝子1疾患よりも複雑である。

少し複雑性を盛り立てすぎのような気もするが、Diseasomeという疾患の集合的性質について、ネットワーク理論を応用したみたいな研究が存在する。

2014年9月15日月曜日

筋生検の確定診断への成功率

筋生検の確定診断への成功率について、以前、熊本大学病院発達小児科様にリンクを張らせていただいていたのですが、ウェブページの移転と共にリンク切れになってしまいました。筋生検を受けても確定診断に至らない割合が分かってしまうウェブページだったので、一言お知らせしておくべきでした。

以前のURLです。

どこかにオープンアクセスの日本語文献で、筋生検の確定診断の成功率について書かれたものがあるといいのですが。

遺伝子検査のベストプラクティス・ガイドラインの日本語版

ACMGのガイドラインについて、再度検索をかけたところ、日本語版でそれに近いものが2010年に検討されていたことが分かりました。

「稀少遺伝性疾患の分子遺伝学的検査を実施する際のベストプラクティス・ガイドライン」

PDFではなくマイクロソフトワード形式で提供されているので、気がつくのに時間がかかってしまいました。

ガイドラインですので、コピーしてもよいものと考え、ACMGの2005年のものと対比してみます。結論から言うと、よくできた日本語の対訳になっています。なぜ数字が異なっているのかはよく分かりません。参考文献の中に含まれているかどうか全部は見ていないのですが、見た範囲では含まれていないようです。もしかしたら、ACMGのこのガイドライン全文が、ACMGのサイトから消えて、natureのサイトだけに残されているのと関係があるのかもしれません。私の記憶が正しければ、2014年の春まではACMGのサイトからダウンロードできたはずです。そのリンクが切れたのでnatureのサイトを参照することにした記憶があります。

例1 翻訳領域の全エクソンのシーケンシングにより病的変異が検出されず、数カ所のヘテロ接合が検出された場合 
  • SAMPLE 1: Complete Gene Sequencing with Negative Results and Heterozygous Positions: 
検査名: XXX遺伝子のシーケンス解析
  • Test: Sequence analysis of the XXX gene
検査の理由: _______症候群の疑い
  • Indication for Testing: Suspected diagnosis of ________ syndrome
方法: 翻訳領域の18のエクソンと隣接するイントロンをPCR法により増幅し、両方向からシーケンスした。
  • Method: The 20 coding exons and the flanking intronic regions of the gene were amplified by PCR and sequenced in two directions. 
標準配列としてN M _xxxxxxxxを用いた。
  • The reference mRNA sequence is NM_xxxxxxxx,
第1コドンは開始コドンATGとしATGのAを第1塩基として付番した。
  • with codon 1 corresponding to the start ATG and nucleotide 1 corresponding to the A.
結果: (今回の検査では)X X X遺伝子の変異は同定されなかった。
  • Result: No XXX gene mutation was detected.
詳細: 数カ所においてヘテロ接合となっている部位を認めた。
  • Details: Several heterozygous positions were noted,
これらの部位では両方のアレルが存在していることが示唆された。
  • consistent with the detection of two normal alleles.
コドン223ではTATとTACが認められた。
  • At codon 255, both TAT and TAC were present.
これは既知の多型で、両方のコドンはチロシンをコードしており臨床的な意義は無いと考えられる。
  • This is a known polymorphism of no apparent clinical significance, since both sequences encode tyrosine.
コドン816ではCCA (プロリン、P )、CGA (アルギニン、R )が存在していた。
  • At codon 871, both CCA (proline, P) and CGA (arginine, R) were present. 
P816Rは疾患に無関係であると報告されている(A uthor et al, 2005)。
  • P871R is reported to be a nondisease associated normal variant (Author et al., 1999).
ほかにc.427-13(IV S 3-13)の位置にもヘテロ接合となっている部位を認めたが、病的意義はないと考えられた。 
  • Heterozygosity was also seen at a noncoding position, c.428-15 (IVS3-15), which has no apparent effect.
これらのヘテロの部位を認めたことから2つのアレルが存在しており、遺伝子全体の欠失が存在する可能性は否定された。

  • The presence of these heterozygous positions confirms that two alleles were present and excludes the possibility of a complete deletion of one allele.
 解釈: 本患者において_______症候群と関連する遺伝子変異は同定されなかった。 
  • Interpretation: No mutation associated with ______ syndrome was detected in the gene of this patient.
この結果は _____症候群の診断を否定するものではない。 
  • This result does not exclude the diagnosis of this syndrome. 
________遺伝子の変異は _________症候群の家族歴のある患者の 65%に認められ、家族歴のない患者の30%にのみ認められる(A uthor et al., 2000)。 
  • Mutations in _________ are found in 60% of patients with _______ syndrome and a positive family history, and in 35% of isolated cases (Author et al., 2000).
 上記の解釈は報告書作成時点での_______症候群に関する遺伝学的知見に基づくものである。 
  • The interpretation is based on the current understanding of the genetics of ________ syndrome.
Limitations: Only the coding regions of the XXX gene and immediate flanking intron sequences were examined.
  • 限界: 本検査では X X X遺伝子の翻訳領域とそのごく近傍の領域のみが解析された。 
プロモーター領域の異常・イントロンやその他の非翻訳領域に異常があったとしても今回の検査では検出されることはない。
  • Changes in the promoter region, farther into the introns, or in other noncoding regions of the gene, would not be detected.
DNAシーケンシングは検査を行った領域内の塩基置換、小さな欠失、小さな挿入を高い感度で検出することが出来るが、100%の感度ではない。
  • The sensitivity of DNA sequencing is over 99% for the detection of nucleotide base changes, small deletions, and insertions in the regions analyzed. 
XXX遺伝子以外の遺伝子に変異があったとしても検出されることはない。
  • Mutations in genes other than XXX would not be identified.
大きな欠失や挿入は今回の検査方法では検出されない場合が多い。
  • Multiple exon deletions, multiple exon insertions, and complete deletion of one allele may not be identified using these methods.
 (?)
  •  Other types of rare genetic variation can interfere with this analysis.
参考文献: 
  • References:

ACMGの2005年のガイドラインのリンクが切れたことで、おそらく改訂されたガイドラインがACMGのサイトのどこかにあるはずと考えて探したのですが、見つかりませんでした。しかし、それらしきウェブページは多数あったので、メモしておきます。

Ethical and Policy Issues in Genetic Testing and Screening of Children(2013)

ACMG recommendations for standards for interpretation of sequence variations(2000)

ACMG recommendations for standards for interpretation and reporting of sequence variations: Revisions 2007

ACMG Recommendations for Reporting of Incidental Findings in Clinical Exome and Genome Sequencing

American College of Medical Genetics and Genomics Practice Guidelines, ACTIVE LIST

ACMG, Laboratory Standards & Guidlines("2008 Edition"とあるので既に古いかもしれないので注意。しかし、2013年の文献も掲載されているのはよく分からない)


また、2005年版の超希少疾患と希少疾患の混同についての訂正が2006年に出されています。これもメモしておきます。

Erratum

Genetics in Medicine (2006) 8, 681–687; doi:10.1097/01.gim.0000245631.07117.ac

Erratum

Top of page
Abstract
In the article “Technical standards and guidelines: Molecular genetic testing for ultra-rare disorders” in the October 2005 issue of Genetics in Medicine, the definition of a rare disorder, rather than an ultra-rare disorder, was used in section URD 2.1 on page 572. The authors would like to clarify these definitions.

A rare disorder, as defined by the Orphan Drug Act of 1983, affects populations smaller than 200,000 individuals in the USA. An ultra-rare disorder, as defined by common usage, is a disease occurring in less than 2,000 individuals in the USA.

ACMGの日本語訳

ACMG(American College of Medical Genetics)という団体の日本語訳を付すために、グーグルでヒットカウント分析を行った。

"臨床遺伝学会" ACMG 180件
"医科遺伝学会" ACMG 2件
"医療遺伝学会" ACMG 1件

"遺伝子学会" ACMG 6件

"米国臨床遺伝学会" ACMG 61件
"アメリカ臨床遺伝学会" ACMG 17件


米国臨床遺伝学会とすることにしたい。

2014年9月8日月曜日

D-FAX

D-FAXについてのメモ

何年も前に利用していたD-FAXというファクス受信番号を得られるサービスが、再度必要になったため登録した。以前から利用中の送信サービスiFax、おそらく現在はBizFaxと呼ばれているものでは、受信に月額維持費用がかかるため。

少し020という点に不安を感じないことはないが、以前はこれで受信できていたので大丈夫と思う。新たにPDFオプションというのができていたが、とりあえず無料の範囲で使いはじめる。

考えてみれば予想外に電子メールだけでやりとりできる会社は増えなかった。結局ファクスで送ってファクス番号に返してくる出版社がある。その会社の中では実は受けたファクスを電子メールで担当者に飛ばしているのかもしれない。

2014年9月6日土曜日

進化のランダム性、遺伝病のランダム性

 Wikipediaの進化のページを読んでいるうちに、もしかしたら希少疾患について突然変異が「ランダム」という表現は適切でないかもしれないと思い、ドーキンスの「盲目の時計職人」を初めて読んでみました。とても厚い本なので、今まで読むのを避けてきてしまったようです。その結果、進化に寄与する突然変異は多くの意味においてランダムでないようですが、疾患として表れて子孫をほとんど残さない場合には、進化よりもランダムであると考えていいように思います。たぶん、とても重要なことなので、一部を引用します。転載許可は後で考えます。
私は突然変異がランダムでない点として三つ挙げた。突然変異はX線などによって誘発される。突然変異率は遺伝子によって異なっている。そして前進突然変異率は復帰突然変異率と等しいとは限らない。いまは、これに突然変異がランダムでない第四の点を付け加えたことになる。突然変異は、既存の胚発生過程に変更を加えることしかできないという意味でランダムではない。(493頁) 
おそらく、疾患との関係からもう1点追加することができます。生殖可能年齢となるまでの成長過程で疾患を患うような突然変異は、次の世代に引き継がれないので自然界で認識することはほぼできない。しかし、ヒトの場合だけは希少疾患として認識される。

 この著書についての重要な点として、累積淘汰という、ランダム性が少なくて系統的な進化の考え方を説明していました。ヒトの疾患のことは、ほとんど登場しませんでした。思うに、この手の「淘汰」について書かれた著書で疾患を論じると、患者は淘汰されるべき対象と誤解され、著者・患者ともどもに不幸な関係になりかねないためかと思います。確かに何十年前ならそうかもしれないですが、遺伝医療時代の入り口に差し掛かっているので、人として生を受け戸籍によって人権を与えたからには、行政により遺伝子治療で患者を救うための努力がなされるべきと思います。その努力が実るにはまだ時間がかかるでしょうが。