2016年2月25日木曜日

線維筋痛症の病院充実キャンペーンの経緯のご説明



毎年、欧米においては、慢性疲労症候群、線維筋痛症、化学物質過敏症の国際啓発デーである5月12日には、サンダークラップ*という、SNSを応用したシステムを用いて啓発が行われておりました*。言ってみれば、日本は欧米よりも諸疾患の周知が進まないにも関わらず、欧米並みの啓発活動を行う努力を怠ったままになっておりました。サンダークラップは、2月末日のレア・ディジーズ・デイ(RDD)にも欧米で実施されています*

そこで、僭越ながら2015年には、空腹時に発作が起こるという理由から、線維筋痛症としては不完全型の身ではありますが、私が線維筋痛症のサンダークラップキャンペーン*を主催いたしました。その際に難病指定を視野に入れた内容にし、線維筋痛症友の会の「線維筋痛症患者救済に関する緊急要望書」*に準じたつもりだったのですが、キャンペーン自体は皆様のご協力のもと成功したものの、キャンペーン内容には問題があることが明らかとなりました。

もともと線維筋痛症は推定200万人と学会から言われているので、難病法による難病指定の条件人口比0.15%未満*(約20万人未満)の条件を満たしません。そこで緊急要望書では、重症度の最も高いステージVだけに限定して約6%、約12万人のみを、「重症型線維筋痛症」と名付け、先行して難病指定してもらおうという案を示しています。しかし、それで指定を受けたところで、線維筋痛症に対して保険適用となっているのがリリカとサインバルタのみであるため、この2つの薬剤についてのみしか助成されません。指定の後に保険適用の範囲を広げていくという努力が必要になって来ます。即効的にはメリットの少ない難病指定になるということです。

加えて、戸田克広先生からツイッター上で繰り返しご指摘を受けたのは、大学病院などの基幹病院が線維筋痛症の診療を避けているということの方が大問題であり、200万人の難病指定など国家予算の関係上通るわけがないという点でした。これもごもっともであり、保険適用の真っ当な拡大を含めて線維筋痛症を助成しようとすれば、確かに国家予算の関係上通らない話になるでしょう。

それを裏付けるように、私の所属している患者会であるイマイキの山中代表と、山田副代表が、東京まで出向いて厚生労働大臣政務官であった橋本岳衆議院議員に、直接面会をして伺った難病指定の見込みは、ほぼ絶望的であるという回答でした。国としては痛みという測定できず診断基準の確立しにくい諸疾患のために、難病指定に比すれば遥かに少額であるものの、慢性の痛み対策事業*を計上して、対策にあたっているという認識であるため、線維筋痛症を難病指定するつもりは一切ないとのことでした。

このような経緯で、2016年のキャンペーンは、啓発だけでなく請願を目的とするものの、難病指定については保留して、病院充実の問題に焦点を絞り込むことに致しました。戸田先生からは難病指定という無理な要求を含むことで、病院充実という要求も扱いが低くなってしまうというご指摘*をいただきまして、キャンペーンには難病指定という文言は一切含んでおりません。

すでに500筆を超えております。このチャンスを無駄にすることだけは避けたく、正直なところ、私が倒れても大丈夫なように、イマイキの山中代表には私のフェイスブックのIDとパスワードをお預けし、最悪の状況下でもキャンペーンが運営されるように準備してのキャンペーン運営に臨んでおります。

全体的に諸事情が絡みあい、ややこしいことになってしまいましたが、今後共、線維筋痛症の病院充実キャンペーンにご理解、ご協力のほどお願い申し上げます。