2019年10月30日水曜日

進化における神の概念

pubooからの転載です。

進化における神の概念

 進化における神についての考えは、まだ固まっておらず、日を改めて後日検証しながらまとめるつもりであったが、それっぽい方に連絡をとる必要が生じたため、急遽まとめたものである。あくまで、途中経過なので、[ダウン症候群...]の節で述べる他種への愛について皆様といっしょに調べる際には、本節は一応、関係ないことにして議論させていただきたい。そうしないと、そこまで固まっていないところに、更に固まっていないものを載せてしまうので、混乱の元である。本節はあくまで備忘録的なものである。

 しかし、結局のところ、他種への愛と、進化における神とは、同じ現象を両側から見たものだというのが私の主張なので、一方通行で申し訳ないが[ダウン症候群...]の節に基いて話を進める。ヒトとチンパンジーの共通祖先様になる際に、間に染色体異常症の中間種を介して、その前の染色体が1対少ない種から進化したと考えると、この染色体1対分の大進化は2段階で起こっている。つまり、前種から中間種、中間種から共通祖先様という2段階で、その間に、前種が中間種を哺乳類的に可愛らしかったので狼などの捕食者から保護し、中間種、または前種と中間種の両方が共通祖先様を哺乳類的に可愛らしかったので同様に保護した、その結果、他種への愛をもった集団だけが共通祖先様への進化の階段を登れた。これが染色体異常症が連続して起こる形であっても、自然環境で生き残れた理由であろうと推測した。

 これは前種や中間種から見た場合なので、他種への愛という形、姿形が多少ちがっても哺乳類的に可愛ければ愛するという行動であったが、保護される側の立場になって考えれば、まるで前種や中間種が神の様に強い存在に思えたことだろう。何しろ、染色体異常症は10以上の比較的軽度の優性遺伝病の合併症である。それが比較的短い期間で二重に起こっている。合計した重症度としては相当なもので、いくら運がよくとも、狼といった捕食者と闘って食べ物や水を手に入れるには、やはり誰かが助けたから生き残ったと考える方が、誰も助けなくても生き残ったと考えるよりも尤もらしい。その助けた前種や中間種が神なのである。つまり、全種や中間種といった、自分達と姿形は多少違っていても、基本的には似ていて、しかも強くて賢い存在、これはまさに我々のイメージする神そのものである。

 こういった神を称え、従順であった集団だけが、前種からの保護を受け、生き残り、前種に対して容易に攻撃的姿勢を取る集団は、保護を受けられずに、淘汰されたのではないだろうか。つまり神の概念を欲し、神を称えることで、自らの安心と安全を確認しようとする、我々の習性は、自分達と似て異なるが力強い別の種に対して、従順であればあるほど、生存率が向上したという過去の現象の、適応の結果と言えるだろう。

 しかし、いずれは、共通祖先様が大集団となった際には、食べ物、水、土地をめぐって、中間種を見捨て、前種を裏切って攻撃しただろうと思われる。これが世界中の伝説で語られる「神殺し」に通じるのではないかと思われる。しかし、言語が発達していなかったであろうから、直接的に前種の時代まで神殺しの歴史を遡れるとは思えない。伝説における神殺しは、基本的には前種に対する神殺しと現象として同じはずだが、もっと後の時代に起こったものと思われる。強い力をもった自分達と違う種族、それも孤立して自分達の近くで山中など目立たずに生活している個人が神に見えて、それを豊作の間は神と称えていたものを、洪水や干魃といった自然災害が起こった途端、愚かにも原因を取違え、退治してしまった比較的後期の現象が、現在伝説で言う神殺しであろう。具体的には、天狗は一人漂流して流れ着いたヨーロッパ人*だと引き合いにだされるが、山神*とも台風を呼ぶため討伐の対象とも見做された点で、古来の前種と共通の特徴がある。実際、[ミトコンドリアDNAの検査]の節の最後に示したように、人種として中期に発生したヨーロッパ人は人種として後期に発生したアジア人にとって前種の概念に近い。強く、たくましく、そして縁起がよいことに白い、日本文化が好みそうな神のイメージと一致している。

 しかし、これでは、犬や猫にとっても、飼い主が神だということになってしまう。従順であればあるほど食事や棲家を与えてくれる強い存在だからである。同じ哺乳類なのだから、多少似ているのも事実で、犬の場合は稀にヒトの真似をして前足で手の動きを表現したりする。猫を含めると決して従順でなくマイペースなところもあるため、やはり当てはまりにくいのだが、犬については、より従順で愛想のよい種、しかも哺乳類的に可愛らしい種しか、現在我々の目の前にはおらず、資本主義的な商品価値という理由から繁殖が推奨されないうちに消えてしまった種も多いはずである。犬の場合は、まさにヒトに対して基本的には従順で、しかも時々いたずらをして子供らしい愛されやすい行動をとることが適応の結果と言えるだろう。

 まとめると、神の概念は、染色体1対分の進化の過程で、弱い自分達が、姿は多少違ってもよく似ていて強い前種から、保護を受けるために従順に行動するという適応の結果である。おそらく、共通祖先様が経験した染色体1対分の大進化の際が、もっとも近年、そういった保護がなければ生き残れなかった機会であろうと思われる。

 しかし、いずれにしても、どんな仮説を立てるにしても、その共通祖先様ってどんなの? という疑問が次々に湧いてくる。発見されている化石の種の中で、一番近いのはどれなのだろうか? ネアンデルタール人のDNAでさえmtDNAしか読めず核DNAが得られないとか、最近まで言われていたので、染色体1対増えた直後の共通祖先様がチンパンジーやヒトとどのぐらい違う存在であったのか、分かってくるのは非常に時間がかかるのかもしれない。

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