ごく最近になって、米国で診断されない患者のための患者会が存在することを知った。しかし、主としてやはり小児であり、成人は今までのところ親として参加するのみのようだ。その患者会の名はSWAN USA†。おそらく白鳥にかけてスワンと呼ぶのだと思われる。"Syndromes Without A Name"(名前のない症候群)の略だそうである。現在のところ小児ばかりが対象なので、正確には患者会ではなく、患児会である。本著のテーマである"UNdiagnosed"そのものの患児会であり、後々の節でも頻繁に呼称することになるため、「名前のない症候群」という訳を用いる。私が訳したもので、公式のものではない。カタカナ表記は冗長になってしまうため避けた。「名もなき症候群」ではなんとなく成人の患者会と誤解されかねないために、「名前のない症候群」と子供が覚えやすそうな平易な訳にとどめた。
考えることは皆同じで、エクソームシーケンシングにとても積極的である†。Rare Genomics Institute (RGI) の協力を得て全ゲノムシーケンシングに乗り出すかのような記述†もみられる。
Syndromes Without A Name USA (SWAN USA) partners with Rare Genomics Institute (RGI) to help families have more opportunities in getting whole genome sequencing.
名前のない症候群USA(SWAN USA)は、レアゲノミクスインスティチュートとパートナーを組み、より多くのご家族が全ゲノムシーケンシングの機会を得るのを支援します。
レアゲノミクスインスティチュートは、シンガポール・マレーシアとインドに支部があって、現在のところイギリスなどに支部はないようだ†。現在のところ日本支部が作られる可能性は低いだろうと思われる。
SWAN USAは"Undiagnosed Day"として、2014年4月25日にイベントを行ったようだ。恥ずかしながら毎日のようにインターネット検索をしているつもりだったが、このイベントは全く知らなかった。気が付いたのは、グローバルジーンズという遺伝病啓発団体のウェブページで特集†されていたことによる。特に何の疾患に限定したわけでもない遺伝病啓発団体は特に米国に多く、次にイギリスで、たぶんドイツなどが来て、先進国と呼ばれている国の中で一番少ないのが日本と思われる。特に何かの疾患に限定しないのは、言ってみればチャリティーイベントというお楽しみというか、オフタイムの過ごし方というか、患者以外にとってはそういう意味合いがあると思われ、それなりによいことのようだ。
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