2015年3月26日木曜日

希少疾患を嗤う弱者達

UNdiagnosed』にまとまりをもたせるために、節の分離作業を行っています。

 [エクソームシーケンシング]の節の最後に示した画像検索へのリンクを作ってから、後の節を記そうとしても、何度、書き直しては消し、書き直しては消ししても、納得がいかず、スランプに陥って、ようやく、例の画像検索結果をリンクとして記したことが、気にしないように、憂鬱になりすぎないように意識しながらも、実は非常に気になっているのだと気付いた。ある意味、PTSDみたいなものかもしれない。

 こういった画像がセーフサーチをオンにしておいても多数表示されてしまう理由は、推測だが、こういった画像を意図して見ている人がいるからである。グーグルが不適切な画像を表示する度に、画像検索結果からフィードバックを送信していれば、ポルノと同様に検索結果として表示されなくなっているはずなので、ただ単に希少疾患について調べようとして"rare diseases"だけでこれだけのものが表示されるということは、やはり、意図して見ている人口がいるということだと推測する。平たく言うと、自分に不幸せな出来事が起こったときに「あー俺って結構幸せなんだな」と安心するために、社会的に弱い者ほどこういった画像を見て、更に下がいるのだと自分を落ち着かせているのだろうと思う。その気持ちは実は私にも分かる。

 具体的には、某有名ニュースサイトをざっと探しただけでも、新生児早老症様症候群医学的に信じられない状態にある人々の10の症例日本ではほとんど知られていない世界の奇病魚鱗癬といった記事が掲載されている。しかし、このニュースサイトはおそらくまだましな方である。なぜなら、リンク先はともかくとして、直接掲載された写真としては、先進国と思われる例ばかり選んでいるからだ。途上国からの画像では、本人の許諾がとれているのかどうかさえ分からない写真が多いが、このニュースサイトの記事はおそらくほとんどが本人か保護者にきちんと承諾を得ている。ただ、承諾を得ていることに安心すると同時に、本人や保護者が承諾した見返りに多少の金銭を得て医療費の充足に当てているという推測も成り立つ。金銭を得る事自体は悪いことではないが、同じ疾患を持つ別の患者にとっては、あのニュースと同じ病気だとからかわれる割に、自分はもうニュースとして写真を提供して金銭を得るという珍しさとしての価値はなくなったわけだから、悪いことだらけだ。

 実は、私もこのニュースサイトを愛用していて、今までそれほど写った方の立場になって考えてみたことはなかった。何となく見てはいたが、想像力が働かなかったのだ。しかし、第三世界を中心に3億人の希少疾患の患者と1億人の診断されないまま亡くなる患児達がいること、ミトコンドリアイブから辿った道でF1cという東南アジア系の人種として私自身の出身が明らかになったこと。この2つを画像検索結果と考え合わせると、とてもやるせない気持ちになるのだ。日本で難病法が2015年1月に施行が迫っていることばかり気になっていて、同じ人種の人たちがどうなっているかなんて、画像と数値とDNA検査による人種分類により、リアルとして認識するまで考えてもみなかったのだ。

 そうは言っても、結局、いったんはまずは日本をよくして、第三世界は健康保険制度からのスタートで、当面は希少疾患かどうかなどあまり重要でないと割り切ろうと、なるべく自己暗示をかけることにした。そうでないと、この著作を仕上げることさえできそうにない。

 しかし、こういった希少疾患を嗤うようなニュースが、インターネット上で年々、ひどくなっているような気がするのは、私だけだろうか。『豪で「近親相姦農場」見つかる、先天異常の子ら12人保護』といったニュースもあり、確かに先天異常だけをニュースにしているわけではなく、近親相姦もニュースにしているから、希少疾患だけを嗤っているわけではないとも言えるのだが、タイトルに「先天異常」という疾患の総称を加えることで、実質的に希少疾患の残酷さによって読者の興味を惹こうとしていると言えるだろう。無批判に放置してますます酷くなるのは問題だと思えるので、一応、ここで小さく批判を行っておく。

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